モンクレール・ダウンベストのナイロン変色修復
モンクレールのナイロンダウンベストです。
襟・首周りを主に、ナイロン素材の色アセ・変色が見られます。
全体を丸洗いした後、『復元加工』を行います。
日焼けや皮脂汚れがなどからナイロンが退色し、色が薄くなっている部分を改善しました。
襟・首周りの変色です。
汗や皮脂汚れ、整髪料などによってナイロンの染料が分解され、変色してしまいます。
AFTERの通り、色がはっきりとして、色ムラ感がなくなりました。
復元加工(変色修正)は布素材・ナイロン素材に可能です。
中間色より濃い色での変色修正が可能となります。
なお、元色が淡色の品物、特殊加工の品物、変色の大きい品物の品物は改善が難しくなります。
復元加工直後はドライクリーニングはお避けください。
ナイロン素材の変色には様々な要因が考えられます。
下記に原因を記載しました。
今回は『汗・皮脂汚れ・食べこぼしなどの汚れ・シミからの変色』、『酸化窒素ガス(NOx)による変色』が考えられます。
ナイロン素材の変色について
保管していた衣服を久しぶりに出してみたら、変色や色アセしていた…と言うことがあります。
ナイロン素材としてはダウンジャケット、ジャンバーなどが多く、バッグにも多い素材です。
ナイロンの黄変色や退色原因は下記の通りです。
ナイロンの変色原因
光(紫外線)による日焼け・退色
ナイロン繊維は光(紫外線)に弱く、光を長時間浴びると酸化されて黄変色します。
太陽光による紫外線はもちろんのこと、蛍光灯でも日焼けは進行します。
ハンガーに洋服をかけていた場合、光が当たる箇所の肩や袖などで発生します。
予防には暗い場所であるクローゼットやタンスに入れ、光が当たらないようにすることです。
汗・皮脂汚れ・食べこぼしなどの汚れ・シミからの変色
皮脂汚れや汗・食べこぼしなどが、空気中の酸素と反応し染料を分解して、変色します。
ダウンジャケット・ダウンコートでは衿・脇下・袖口など汚れの付きやすい場所で発生します。
ナイロンバッグでは、ファスナーやポケット周りなどの、開口部分・出し入れ部分で手アカ汚れが変色の原因となります。
酸化窒素ガス(NOx)による変色
ガスによる化学変化によってナイロンの染料が分解され、変色・退色します。
酸化窒素ガス(NOx)は石油ファンヒーター・ストーブ・自動車や工場の排気ガス・ガスコンロなど燃焼時に発生する酸化性のガスで、日常生活に存在するガスです。
表面のみならず、裏地なども変色させます。
BHT(酸化防止剤)による変色
ビニール袋やハンガー、防虫剤などに使用される物質(BHT)が、NOxガスと反応して変色します。
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)は酸化防止剤の一種です。
プラスチックやポリウレタンなど経時変化により酸化、劣化するのを防止するもので、石油製品・化粧品・ボディソープ・医薬品・ゴム・接着剤・食品などに使用されています。
ナイロン衣類では、ビニール袋・ハンガー・防虫剤などにBHTが使用され、ナイロンとの接触面で変色が起きやすいです。
また、プラダやフェリージを代表とするナイロンバッグでは、バッグの縫製時に使用する接着剤でBHTが使用されており、フチや縫い目にそって変色が起きることがあります。
▶BHT(ジブチルヒドロキシトルエン):ウィキペディア(Wikipedia)
▶酸化防止剤と窒素酸化物の複合作用による黄変:東京都立産業技術研究センター
ナイロンの変色予防
上記の原因をよく理解し、ナイロン製品の保管は注意しましょう。
- 汚れが付いた状態で放置せず、洗濯・クリーニングをする。
- 光が当たらないようにする。
- ファンヒーターやビニール袋・防虫剤に注意する。
ナイロン変色の修理・修復
当店ではダウンジャケット・ダウンコート・ナイロンバッグなどのナイロン製品の変色修正を承っています。
過去にはプラダのナイロンバッグやナイロン財布、モンクレールのダウンコートなど多くの復元実績があります。
ナイロンの日焼け・退色・黄変色などのトラブルがあった場合は、修復・復元可能かどうか、お見積り等ご相談ください。